2020.10.2

昨日は朝からビックリするニュースが飛び込んできました。

東京証券取引所のシステム障害で、1日の取引が中断されました。

これは、かなりやばいというか厄介な問題なんです。

株式の取引ができないのはもちろん問題なのですが、問題はそれだけはありません。

これだけ情報技術が発達した社会だと、株式だけではなくそれに付随する投資信託先物取引オプション取引等、数限りない金融商品に影響を及ぼすのです。

例えば投資信託で言えば、最近では「バランス型ファンド」と呼ばれる商品が非常に売れています。これは、分かりやすく言うと、「金融商品の幕の内弁当」です。

つまり、一つの投資信託の中に「国内株式」「海外株式」「国債」「コモディティ(金などの現物商品)」が含まれています。

それらの「個別の価格の変化」が毎日の「投資信託の価格の変化」に影響を及ぼします。

例えば昨日、「田中さん」が、日本の株式と米国の株式が50%ずつで構成される投資信託Aに対して「買いの注文」を出した(今日の価格で約定する)場合、

①明日の日経平均は下がるだろう という予想

②明日のダウ平均も下がるだろう という予想

③だから明日の投資信託Aは、安くなるはずだ!!

という理由から購入したとします。

通常であれば「日本の株式」は、日本時間の朝9時から夕方3時までは証券取引所で取引が行われ、その結果その日の「日経平均」が決まります。

その日経平均の結果により、投資信託Aの価格が決まります。

その後、日本時間の22:30からアメリカの株式市場が開きます。

その価格の動きがさらに投資信託Aの価格に影響を及ぼすため、本来であれば①の予想をしていた人は、日経平均の価格が全く動かないという事態に直面することで投資計画に大きな狂いが生じてしまうのです。

さらに最近では、複雑な金融商品が増え、日経平均に連動するような商品も出てきています。

それは日本だけではなく、世界中の金融商品と複雑に絡み合っているため、たった1日市場が動かないというだけでも、とてつもない影響が出るのです。

今日から通常どおり取引が再開されましたが、金融庁が「報告徴求命令」を出すなど、問題究明にはしばらく時間がかかりそうです。(2020.10.2)